「肌の仕組みってどうなっているの?」「肌にはどんな役割があるんだろう」と気になったことはありませんか?肌の構造は大きく3つの層から成り立っていて、それぞれの層に大切な役割があるのです。この記事では、肌の構造や働きを分かりやすく解説します。健やかで美しい肌になるためにできることを見ていきましょう。
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・「肌の構造と働き|きれいな肌の条件とつくり方を解説 #肌の構造」を公開しました。:2025年3月10日(月)
肌の基本的な構造と役割
肌の構造と役割について詳しく見ていきましょう。
肌は3層で構成されている
肌は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。
真皮と皮下組織は単一の層からできていますが、表皮はさらに複数の層から成り立っています。肌のもっとも外側にある表皮は、外側から以下のような4層に分かれています。
- 角質層
- 顆粒層(かりゅうそう)
- 有棘層(ゆうきょくそう)
- 基底層
ただし、足の裏と手のひらは、「透明層」を含む5層構造になっています。
- 角質層
- 透明層
- 顆粒層
- 有棘層
- 基底層
各層の役割
表皮、真皮、皮下組織は肌の健康を維持するためにそれぞれ役割があります。ここでは、肌全体の役割と、各層の役割について解説します。
肌全体の役割
肌(皮膚)には、体の表面を覆う臓器としてさまざまな役割があります。
- 保護・防御機能(バリア機能)
細菌やウイルスなど、外部からの異物が内部に侵入しないよう防御したり、体内の水分が蒸発するのを防いだりする役割があります。
- 体温調整機能
暑い時には毛細血管を広げて汗をかき、熱を放散することで体温を下げます。また、寒い時には毛細血管を収縮させて熱をつくり、体温が逃げないようにします。
- 感覚器官としての機能
「冷たい」「熱い」「痛い」などの感覚を感知する機能があります。
- 吸収作用
脂溶性物質や女性ホルモンなど、一部の成分を毛穴や皮脂腺から吸収する機能があります。この機能により、湿布薬や外用薬の有効成分を吸収することができます。
- 貯蔵作用
皮下組織には、脂肪をエネルギー源として蓄える機能があります。
- 排泄作用
皮脂や汗を分泌し、体内の老廃物を排泄する機能があります。
表皮の役割
表皮には外部の刺激から肌を守る「バリア機能」が備わっています。また、表皮の各層は全体で肌の健康を保つために機能しているのです。
角質層や顆粒層は適度な水分が含まれ、肌のうるおいを維持して乾燥などの刺激から肌を守る役割があります。
その下の有棘層では、真皮から送られる栄養素から細胞の元となるタンパク質をつくります。また、ウイルスなどの異物の侵入を感知してリンパへと伝達する役割があることから「免疫機構」としての役割もあります。
一番下の基底層には、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)に欠かせない「ケラチノサイト(角化細胞)」を生成する役割があります。さらに、メラニン色素を生成する「メラノサイト」も存在しています。メラニン色素は過剰に蓄積するとシミの原因になることがありますが、紫外線によるダメージを軽減させるために欠かせない物質です。
また、基底層の最下部にある基底膜では、老廃物と栄養素を交換して肌の代謝を行っています。
真皮の役割
真皮には、神経や血管、リンパ管、毛包、汗腺、皮脂腺などの組織があります。神経があるため、私たちは「熱い」「冷たい」などの感覚が得られます。また、血管やリンパ管には、表皮へ酸素や栄養を運ぶ役割があるのです。そして、真皮にも表皮と同様に、体温調整を行ったり皮脂腺から皮脂を分泌させて肌の環境を整えたりする機能が備わっています。
さらに、真皮の構造のうち、約7割は肌の弾力やハリを保つ役割があるコラーゲン線維でできています。コラーゲン線維はエラスチン線維で束ねられていて、それぞれの間はゼリー状のヒアルロン酸がつないでいます。ヒアルロン酸には水分を保持する機能があり、肌のうるおいを維持する上で重要な役割がある物質です。
なお、コラーゲン線維もエラスチン線維も、真皮にある線維芽細胞から生成されています。そのため、線維芽細胞が正常に機能していれば、肌のうるおいや弾力を保てるのです。
皮下組織の役割
皮下組織は、真皮と筋肉の間に位置する結合組織で、主に皮下脂肪と血管で構成されています。
皮下脂肪は衝撃に強く、熱を伝えにくい性質があります。そのため、クッションのように外部の衝撃から内部を保護したり、断熱・保温など体温を保ったりする働きがあります。また、血管を通して他の組織から老廃物を運び出したり、栄養を与えたりする役割もあるのです。
健やかな肌の状態とは?きれいな肌の条件
健やかな肌とは、うるおい、ハリ、キメ、血色の4つの要素が整っている状態です。私たちは、人の肌を見てこの4つの条件が揃っている際にきれいだと感じる傾向にあります。
そのため、うるおい、ハリ、キメ、血色のどれか1つでも欠けてしまうと、不健康な肌に見えてしまうことがあるのです。実際に、肌が乾燥していてハリがなく、血色が悪い場合には、不健康そうに見えるだけでなく組織のどこかに何らかのトラブルが生じている可能性があるため、単に見た目だけの問題とも言いきれません。
うるおいやハリがあり、キメが整った血色のよい肌は、表皮だけでなく真皮や皮下組織の状態がよく、肌の内側まで元気な証拠です。
つまり、健康できれいな肌の条件とは、以下のすべてが正常であることだと言えるでしょう。
- ターンオーバー
- 表皮のバリア機能
- 表皮に栄養を送る真皮の状態
- 組織全体の血流
健やかできれいな肌になるためにできること
健やかで美しい肌になるためには、普段のスキンケアだけでなく、肌を内側から整えるための生活習慣も欠かせません。ここでは、健康で美しい肌を目指すためにできることを6つ紹介します。
丁寧なスキンケア
きれいな肌を目指すためには、まず肌を清潔に保つための洗顔や、うるおいを与えるための保湿など、丁寧なスキンケアを心がけましょう。
洗顔時には、泡立てネットを用いて濃密な泡をつくり、肌を擦らないよう優しく洗いましょう。洗顔前に蒸しタオルを顔に当てると毛穴が開き、肌を擦らなくても汚れが落ちやすくなります。メイクをしている場合には、クレンジング剤を使用して洗顔料では落としきれない汚れを落とすことも重要です。
洗顔後は肌が乾燥しやすくなっているため、速やかに保湿するようにしましょう。特に紫外線を浴びた後や乾燥が気になるなど、肌ダメージが気になる時は入念に保湿をするのがおすすめです。
入念な紫外線対策
紫外線対策は夏だけでなく一年を通して行うことが重要です。紫外線を浴びると、シミや肌荒れ、老化などの原因になります。紫外線は日差しの強度に関わらず降り注いでいるため、季節や天候に関係なく行いましょう。
日焼け止めは、顔だけでなく首やデコルテ、耳の周り、うなじなど幅広く塗ります。時間がたったり汗をかいたりしたらこまめに塗り直すことも重要です。
また、日焼け止めだけでなく、帽子やサングラス、手袋などを着用することも効果的です。
肌の健康に必要な栄養素の摂取
栄養素が不足すると肌荒れの原因になることがあります。肌を健やかに保つためには、必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
栄養バランスが偏らないよう、さまざまな食材を取り入れて規則正しく食べるようにしましょう。肌を健康に保つためには、体の細胞をつくるタンパク質やエネルギー源となる炭水化物、脂質以外にも、ビタミンやミネラルを取り入れることが重要です。
皮膚の健康維持に特に役立つ栄養素は、ビタミンAやビタミンB2、B6です。たまごやレバー、納豆、ニンジン、ほうれん草、カツオ、マグロ、サバ、サンマ、バナナなどに豊富に含まれます。
色々な食材を幅広く取り入れ、栄養素をバランスよく摂取するようにしましょう。
十分な水分摂取
水分が不足すると血流が悪くなり、肌荒れや乾燥などの原因になることがあります。肌を健康に保つためには、十分な水分摂取を心がけることが重要です。
1日に必要な水分は1.5Lと言われています。しかし、一度に吸収できる水分量には限界があるため、こまめに水分を摂取するようにしましょう。
質のよい適度な睡眠
肌を健やかに保つためには睡眠も重要です。これは、皮膚の再生を促す「成長ホルモン」が睡眠時に多く分泌されるためです。
成長ホルモンの分泌を促すためには、質のよい睡眠をとることが大切だと言われています。睡眠環境を快適に整えるためには、日中に適度な運動をしたり、夕食を早めにすませたりすることが効果的です。適切な睡眠時間は人によって異なるものの、7〜9時間を目安にとるとよいでしょう。
適度な運動
適度な運動をすることで血流がよくなり、体の隅々まで酸素や栄養素が届きやすくなるため、ターンオーバーを整えます。
肌をきれいにするために無理な運動をする必要はありません。無理のない範囲でストレッチやウォーキング、ジョギングなどの軽い運動を心がけましょう。
まとめ
今回は、肌の構造や各層の役割、健やかで美しい肌になるためにできることを紹介しました。丁寧なスキンケアや適度な運動、バランスの取れた食生活などを心がけることで肌の健康に役立ちます。スキンケアと生活習慣の両方を意識して健やかな肌を目指しましょう。